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母さんと12羽の子どもたち [身のまわり]

 

 

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 上の写真は、 「モノ・モノ」 というグループの展示会が縁で、わが家にやって来た置物である。

 ご覧の通りフクロウの親子が12羽。

 もう25年も前になるか、当時旭川近郊の東川町で木工業をしていた太田久幸さんが作って下さった。

 今は、わたしの部屋で寄り固まって置かれている。

 お母さんと11羽の子ども、それぞれの表情が面白く、眺めていると心が和んでくる。

 

 

 

 さて、 「モノ・モノ」 とは、工業デザイナーの秋岡芳夫氏が提唱した考えに賛同した皆さんが集まって出来たもの。

 秋岡芳夫氏は、工業デザイナーという枠に留まらず、様々な活動をした方である。

 日本の木工技術の保存に力を注ぎ、伝統的な手作業の製品に光をあて...日用品の寸法について提言し...

 そして、消費者から愛用者になろう...使い捨てを止め、ものを長く使っていこうと提唱し続けた。

 

 その活動の一つが、 「モノ・モノ」 である。

 【作り手100人使い手1000人、顔見知りになって良いモノ作ろう、良いモノ使おう -1100人の会-】

 この提案に、各地の作り手と使い手が集まり 「モノ・モノ」 というグループになったのだった。

 

 その 「モノ・モノ」 が開いた展示会に偶々行き逢ったわたしは、太田久幸さんが作る木の小物に惹かれた。

 それは、鳩だったりフクロウだったり...長閑な雰囲気の、そして木の肌触りが優しい小物だった。

 太田さんの展示にはまた、12羽のフクロウが固まって置かれていて、それがとても素敵にみえた。

 

 このフクロウたちを作って頂けるのか、と尋ねると、今は忙しいけれど2年たったら、というお返事。

 その場でお願いし、数年後、太田さんから 「憶えてますか?作りましょうか?」 というお手紙が来た。

 すぐに承諾の返事を出したら、その1年後、大きな箱に入って、写真上の12羽が届いたのだった。

 

 

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 箱には、長年の無沙汰を詫びながら、「ちょっと工夫して作りました、気に入ってもらえるかな」、という同封の手紙が。

 いそいで箱から取り出してみたら、11羽の兄弟に母親が一緒に入っていたのだった。

 

 子どもたちは、この母親から生まれた兄弟...仲良くいつまでも一緒に暮らしてけますように、との説明も。

 よく見ると、お母さんの懐には、12羽目の兄弟も抱きかかえられていた(写真上)。

 

 お母さんと子どもたち、いずれも東川の木と職人の技で作られたモノたちである。

 どれ一つとして同じ形はなく、そして表情もいろいろ。

 まるでなにかを話しかけているみたい...疲れたときなど、つい見入ってしまうことがある。

 

 で、おとうさんは君たちのためにがんばるからね...なんて思ったりして。

 

 

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MORIHANA

置戸のオケクラフトの仕掛け人も秋岡さんでしたね、確か。
竹とんぼの収集家でもあったような。
挽き物ならではの滑らかな木肌が、優しい雰囲気ですね。
こういうモノたちが身近にあるだけで、暮らしに潤いが。
by MORIHANA (2009-07-22 09:11) 

じゅんぺい

かわいいですね~('-^*)/
お母さんの中に一羽いるのがとっても気に入りました♪
大きさはどのくらいなんでしょう?
by じゅんぺい (2009-07-22 18:50) 

tateichi

ひとつひとつに愛らしい表情があり、それぞれの個性を感じますね。
お母さんの懐に抱きかかえられた、12羽目の兄弟!可愛いです。
(末子の私のようです。)(爆)

兵庫の出石という所に木彫工芸作家の友人がいまして、
木彫りの雛人形が人気で、日本橋高島屋で扱ったところ、
高額品ですが、向こう2,3年待ちの予約が殺到していました。
作品には作者の心が反映されますので、
旭川の作家の優しさが伝わってくるようです。

旭川と言うと、丸井今井が先日閉店しました。
明治の創業だったそうで、大変残念に思います。
取引業者の連鎖も心配ですし、かなりの失業者が出るようです。
と共に、北海道は拓銀の経営破綻以来、
財界のドンと言われた地崎も破綻していますので、
こちらで仕事をしていて痛切に感じるのですが、
最悪の不況下が続いている北海道を、
政策で何とかしてほしいものです。
札幌駅周辺の開発は進んでいますが、
転勤をしていた28年前に比べると、
町全体に活気がなくなっているのを、肌身で感じています。
by tateichi (2009-07-22 19:25) 

gop

「モノ・モノ」をご存知と言う所が、流石ナツパパさんですね。
http://www.monomono.jp/
私のブログのタイトルも少し意識させて頂きました(^^

消費者をやめて愛用者に、と提唱した秋岡さんの「モノモノ運動」
こんな時期だからこそ心に響きますね、暖かいです。
by gop (2009-07-22 22:07) 

hideyuki2007y

ほんとに一羽一羽表情が違いますね。光の具合ではないように見えます。木目も考えて削って造られているのでしょう。すやすや眠っているみたいで可愛いです。
by hideyuki2007y (2009-07-22 23:44) 

トリバン

写真で拝見しただけですが、質感が気になります。
そして、その光沢!
こういうの素人なんで判りませんが、硬木なんでしょうね。
触ってみたい!感じてみたい。
by トリバン (2009-07-23 01:35) 

ナツパパ

MORIHANAさん。
ご存命の頃の秋岡芳夫さんは、それこそ八面六臂の活躍でしたね。
各地にある手工芸や名産をなんとか残そうと奮闘していらしたように思います。
その結果、たくさんの作り手が誕生し、今も活躍していらっしゃいます。
いわゆる秋岡カラー、を感じる製品が多いのですが、それでも、彼の功績は
色あせることはないと思いますねえ。

このフクロウたちは、仰るとおり挽きもので、手触りが素晴らしいです。
太田久幸さんは、わたしがお願いした頃はたしか、家業の木工業、家具の取っ手や脚などを
作っていらして、週末だけこういう置物を愉しみながら製作しておられたように憶えています。
by ナツパパ (2009-07-23 08:30) 

ナツパパ

じゅんぺいさん。
展示会で見たときは、同じ大きさのフクロウが12羽揃っていたのですが、
送っていただいたものにはお母さんが入っていて、それが嬉しかったですねえ。
お母さんで13~14センチの身長でした。
子どもたちは、大きいもので10センチ内外というくらいでしょうか。
実際は小ぶりで可愛らしい感じなんですよ。
by ナツパパ (2009-07-23 08:33) 

ナツパパ

tateichiさん。
作者の太田さんからの手紙には、子どもたちはこのグループのためだけに
形や大きさをデザインして作りました、とありました。
いわばワンオフ、ということでしょうか。
それだけに、わたしにも大切なフクロウたちなんですよ。

北海道に伺うたびに、地域から元気が失われていくように感じてしまいます。
いわゆる小泉改革、その影響なのか、それとも...あれだけ観光客が訪れるところなのに、
と思うのですが、地場産業が育たないと厳しいのでしょうか。
大好きな北海道、なんとか以前の元気を取り戻して欲しいなあ、と思います。
by ナツパパ (2009-07-23 08:39) 

ナツパパ

da-kuraさん。
nice、ありがとうございました。
わたしはこういった小物が好きで、自分の部屋にはずいぶん多く小物があるんですよ。
仕事に倦んだり、行き詰まったりしたときなど、そういう小物を眺めていることが多いですねえ。
自分の部屋が仕事場も兼ねているので、こういう小物を見て気分転換をしているのだと思います。
このフクロウたちも知らず知らず眺めていることがありますねえ。
by ナツパパ (2009-07-23 08:42) 

ナツパパ

甘党大王さん。
nice、ありがとうございました。
子どものフクロウは、ちょうど手ですっぽり包めるくらいの大きさなんです。
優しい手触りの木製品なので、そうやって触っていると気持ち良いですよ。
作者の太田さんは、フクロウや鳩は、子どもたちが触って遊ぶために、この大きさにしている
と仰っています。
たしかになあ、と感じますが、わが家ではオジさんが...嫌がっているかなあ、フクロウたち(笑)
by ナツパパ (2009-07-23 08:46) 

ナツパパ

hideyuki2007yさん。
シンプルなデザインなのですが、見ていると表情も微妙に違うのですよねえ。
作者の太田さんは、家具の取っ手など挽きものの専門家なので、木目などを
相当詳しくご存じ、と思います。
12羽、すべて違う木材、と言う訳ではないのですが、4~5種類の木を使って
作って下さいました。
手に取ってみていると、和みますねえ。
by ナツパパ (2009-07-23 08:50) 

ナツパパ

トリバンさん。
トリバンさんご指摘の通り、堅い木で作られています。
それを挽いていますので、表面つるつるでとても手触りが良いです。
ラッカーなど上薬は掛けていない、白木造りなのですが、長年手で撫でていたからでしょうか、
艶があって良い感じになっています。
わが家に来て25年と少し、年月が良い風合いを作ってくれました。
by ナツパパ (2009-07-23 08:54) 

ナツパパ

gopさん。
「モノ・モノ」の展示会に偶々行き逢ったんですよ。
たしかデパートの催事場でやっていたのだと思います。
「モノ・モノ」については知っていたのですが、実際作品を見ていたら、良いモノがたくさんあって
これは良いなあ、と感心してしまいました。
それから、いくつも「モノ・モノ」から食器や小物を手に入れて、今でも愛用中です。

これだけエコ、を叫ばれているのに、大量消費がまだまだ多いですね。
ユニクロなども結局それじゃないか、というのはもちろんわたしの偏見です(笑)
100年たった木で作られたモノは100年使おう、秋岡さんの提言は大切な何かを
示唆しているように思います。
by ナツパパ (2009-07-23 09:01) 

あんこ

依頼をずっと覚えていて母フクロウを作ってくださった。
そこに売り手と買い手という関係にとどまらない作り手の気持ちが
こめられていてすばらしい。
双方がそんな気持ちを持つことができたらモノに対する愛情も
生まれてくるのかな、とふとそんなことを思いました。
「好きなものだけを大切に使う」大切なことですね。
さしあたり「簡単にモノを買わない」
これがなかなかむずかしい(汗)
by あんこ (2009-07-23 09:23) 

めぎ

かわいい~~♪
そういえば北海道には木の置物が色々あるんですよね。
ふくろうさんはアイヌの神様だし、よくモチーフになってますけど、それにしてもなんて可愛い♪
by めぎ (2009-07-24 07:59) 

ナツパパ

あんこさん。
あんこさんの仰って下さった関係が理想だと思うんですが、なかなか難しいですよね。
恐らく小さな地域で、売り手と使い手は、そういう関係になれると思うのですが、
現代のような大きな流通の中では難しい、と思います。

秋岡さんが、顔見知りになろう、といったのは、そこをなんとかしたいという願い
からだったのかなあ、と思いますね。
わたしも太田さんとお目にかかってお願いしたので、太田さんも憶えていて下さったのでしょう。

「簡単にものを買わない」...わたしにとっても難問です(笑)
物欲大魔王め...と、いつも妻と息子から言われていますものねえ(溜息)
by ナツパパ (2009-07-24 08:02) 

ナツパパ

schnitzerさん。
nice、ありがとうございました。
わたしは今、身の回りにモノが溢れている状態なんですが、片付けようとしても無駄、
経験でそれは分かっているんですよねえ。
片付けようとして手に取るのですが、一つ一つに愛着があって、どれも片付けられず、
結局疲れ果てて...という経験を以前したことがあるので。
せめて増やさないようにしよう、と思っているのですが、なぜか増えてしまうんですよね、これが。
by ナツパパ (2009-07-24 08:07) 

ナツパパ

kazukazuさん。
nice、ありがとうございました。
このフクロウたちは、息子が小さい頃、彼の遊び相手でもありました。
まだ小さな手で、いつまでも手に持って遊んでいた様子は、なかなか微笑ましいものでしたねえ。
不思議と投げたりしなかったので、フクロウたちもこうやって無傷で元気です。
やれやれ...と思ったかもしれませんね。
by ナツパパ (2009-07-24 08:10) 

ナツパパ

めぎさん。
わたしも展示会場に置かれているフクロウたちを見て一目惚れでした。
それぞれ表情が豊かで、見ていて飽きません。
良いものを作ってもらったな、と思っています。
手触りも良いんですよ。
by ナツパパ (2009-07-24 08:12) 

ひろころ

わわ、めちゃかわいいですね~♪
お母さんに抱えられたコの、なんとも気持ち良さそうな表情!
どのコもみんな素敵ですねぇ☆
うちの母が見たら、即買いしそうな愛らしさです(^^*)
フクロウ好きで、気に入ったらガラスのオブジェを買い揃えてるんですよ。
またblogでも紹介できれば、と思っています(._.)φ
by ひろころ (2009-07-24 10:18) 

ハゲアメリカーノ

とても良い表情をしてますね。
伝統工芸~~後世に伝承しなければ・・・・ですね。(^^;
by ハゲアメリカーノ (2009-07-24 20:31) 

炎遊人

ご無沙汰しちゃってて申し訳ありません。

このフクロウたち、トトロの世界を彷彿とさせます…と感じるのは小生だけではないはず。
by 炎遊人 (2009-07-25 00:02) 

ナツパパ

ひろころさん。
あっ、お母様はフクロウがお好きでいらっしゃるのですか。
わたしもフクロウが大好きで、小さな置物などを見ると、欲しくなっちゃって心が騒ぎます。
同好の方がいらして嬉しいなあ。
ぜひ、ブログでご紹介下さいね。

このフクロウも、いわゆる一目惚れで、値段も詳しく聞かずにお願いしてしまいました。
12羽一緒ですから、やはりちょっと纏まった値段でしたがね、フクロウたちに心癒された記憶を思うと、
今ではお願いして良かったな、と思っています。
by ナツパパ (2009-07-25 07:43) 

ナツパパ

ハゲアメリカーノさん。
我が国に伝わる産業、とくに伝統産業は依然厳しい状況が続いています。
とくに素材加工の木工業などは、安い中国製に押されてしまい、大変、と聞きます。
なんとか作り手の生活が成り立つような、そんなシステムが出来ると良いのですがねえ。

秋岡芳夫氏の「モノ・モノ」は、たいへん有効なシステムでした。
...と、過去形を使ったしまって良いものか迷うところですが、やはり秋岡氏の個人的な
力量に依存するところが大きかったので、氏のご存命中は良かったのですが...
by ナツパパ (2009-07-25 07:49) 

ナツパパ

炎遊人さん。
お身体が回復されないままでの、急なご出張大変ですね。
脚の具合はいかがですか?
良くなりましたら、またどこかで一緒に遊びましょうね。

この置物は、フクロウをデフォルメした形、良く特徴を捕まえていると思います。
仰るように、トトロに出てくる生き物の雰囲気がありますね。
手のひらにすっぽり収まる位の小さなものですので、眺めていると可愛いですよ。
by ナツパパ (2009-07-25 07:54) 

いっぷく

シンプルな造形の中に表現されたフクロウは見る人を感動させますね。
まるで書の一筆書きのような無駄のないデザイン性を感じました。
by いっぷく (2009-07-25 09:39) 

ナツパパ

いっぷくさん。
仰るとおり、無駄のないデザインが素敵だと思います。
フクロウの特徴はなんといっても眼、だと思いますので、そこを強調して
しかも可愛らしく作った太田さんの力量はすごいと思いますね。
手に取ってみると、とても心が和みます。
by ナツパパ (2009-07-26 10:09) 

ナツパパ

飛狼さん。
nice、ありがとうございました。
わたしはこういう木の小物が大好きで、身の回りに多く置いてあるんですよ。
眺めたり、手で触ったりしていると心が和みます。
とくに、木の手触りが好きで、机も椅子も、手で触れるものは木製品を選んでしまいます。
妻と息子は、「フェチだ」って言うんですがね、こういうのなにフェチって言うんでしょうかねえ(笑)
by ナツパパ (2009-08-03 08:38) 

ナツパパ

くーぷらんさん。
nice、ありがとうございました。
わたしの机に、木で出来た石、という名前の木製品があるんです。
河原に良くある楕円の平たい石、それを木で作ったものなんですよ。
作者が 「これは自分の一番お気に入りの石を木で模した」 と言いました。
なぜ木で???と不思議に思いましたが、とりあえず買ってきたんですがね。
手で触っていたらこれが気持ち良いんですよねえ。
以来、木製品、とくに挽きものの魅力に嵌ってしまいました。
by ナツパパ (2009-08-12 14:48) 

しま

このふくろうさん達、実は祖母の家にもあります。
母が20年?30年?前に秋岡さんの本で知り、
太田さんに手紙を書いて作っていただいたということです。
母ふくろうはいなかったように思いますが、
子ふくろうが何羽もいたのを、私も幼い頃に見ていたので覚えがあります。
最近になって、母があのふくろうを作った方はどうしていらっしゃるのだろうと
言うのでインターネットで探していたところ
このブログにぶつかりました。
太田さんはもう亡くなられたのですね。
それでも残されたモノたちはこうして生き続けているのだな、と感じました。
良いものを見せていただきありがとうございます。
by しま (2009-09-26 09:28) 

ナツパパ

しまさん。
わたしと同じように一目惚れされて、製作を依頼された方がいらっしゃったのですね。
このフクロウたちの可愛らしさは格別ですので、同じように愛蔵されてる方が
まだ多くいらっしゃるのかも知れません。

太田さんはお亡くなりになっていたのですか。
このフクロウたちをお願いした時、その時だけのご縁でしたが、とても素晴らしい方でした。
わたしもこのフクロウたちを大切にしていかなくては。
いろいろ教えていただき、こちらこそありがとうございました。
by ナツパパ (2009-09-26 09:37)