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下谷坂本富士に登る [山に登ろう]

 

 

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 毎年7月1日は富士山の「山開き」の日である。

 この日から富士登山が許可されるわけで、富士山にとっては大切な日。

 それにちなんで、各地の富士塚でも、この日「山開き」が催される。

 神社の氏子の皆さん、また富士講の皆さんが富士塚に祭壇を設け、山の安全を祈願されるのである。

 ふだんは公開が禁止されている富士塚でも、この日に限って入山できる場合がある。

 

 少し前の話題で恐縮なのだが、今年の7月1日は、下谷の「小野照崎神社」を訪れた(写真上)。

 この神社にある「下谷坂本富士」が、6月30、7月1日の2日間に限り登山出来るのである。

 

 

 

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 本殿の左手奥に、目指す「下谷坂本富士」があった。

 いつもは閉じられている門が開けられ、注連縄や提灯で飾られていて、中は登山客が何人も。

 雨の多かった今年の梅雨、訪れた日は、なんとか雨もあがって、少しぬかるみながらも登山できたのだった。

 さっそく入ってみることにする。

 

 

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 「下谷坂本富士」は、高さ5メートルほど、周囲は20メートルくらいだろうか、大きな富士塚だった(写真上)。

 登山道は、幅50センチほどの狭い道...それが幾重にも折れまがって頂上までついている。

 右に曲がり左に折れしていくので、けっこう時間がかかる。

 

 ちょうど、幼稚園児のお子さんを連れた一組のグループが、それは愉しそうに富士塚を歩き回っていた。

 その笑い声を聞いていると、わたしも愉しくなってくる。

 

 

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 まわりは木々に囲まれているのだが、富士塚自体に木はなく溶岩石があるだけ。

 しかし、合目石や石碑も多くあって、江戸期から地域の富士講の拠点だったことが分かる。

 この日は富士塚全体がきれいに清掃され、石碑などには注連飾りも回されて、お祭りの雰囲気に溢れていた。

 晴れていたらもっと素晴らしい富士塚を味わえたのに、と少し残念。

 

 頂上まで上がると、意外なほどの高さである。

 上から眺めると、登山道の折れまがりが面白い。

 なかなかたどり着かない頂上を見上げる人、途中でエイヤッと登山道をショートカットしちゃう人。

 それぞれに愉しめる富士塚だった。

 

 ここ「下谷坂本富士」は、地域の皆さんが大切に保存されている富士塚。

 いつまでもこのまま残って欲しいなあ、と思う。

 

 

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HIROMI

おはようございます。富士塚登山ですか。「二合目」の石柱になぜか笑えました。石の上をあるくのは結構膝にきそうですね。
by HIROMI (2009-07-19 11:30) 

MORIHANA

街で楽しむ山開き、粋ですね。
本家の富士山、この連休はたくさんの登山客で
にぎわっているのでしょう。友人も、仕事で出かけると
いっていました。

北海道でも今、夏山登山真っ盛りですが、
先週はあんな大事故が起きてしまって。その影響で、
周辺の宿のキャンセルがものすごいそうです。
一級の自然を味わおうと思ったら、やはり、登る側も
一級の技術、準備がないと…。観光ツアーの延長線上で
うちの庭に入ってくれるなと神様が天上で怒っていることでしょう。
by MORIHANA (2009-07-19 12:20) 

gop

お、茅の輪ですね。
我家は昨年貴船で買って来まして今年も活躍しております。
http://987.blog.so-net.ne.jp/2008-08-31

最近は自動車用もある様で。くぐって来ましたか(^^?

by gop (2009-07-19 14:51) 

YAP

6月30日に登れるということは、本家の富士山よりも、一日早く楽しむことができるわけですね。
下から見上げると、かなり立派な富士塚ですね。
by YAP (2009-07-19 18:25) 

トリバン

今更ですが、富士塚の文化、ナツパパさんのブログを観るまで知りませんでした。
やっぱ、関西とはひと味もふた味も違いそうですね。
by トリバン (2009-07-19 21:21) 

tateichi

下谷の夏祭りは見た事がありましたが、
台東区にこのような風情のある場所があったのですね。
上野、御徒町界隈も随分変わりましたけれど、
路地を一本裏道に入ると下町情緒が残っていますね。
by tateichi (2009-07-19 22:19) 

めぎ

富士山登山もしてみたいですけど、まずは富士塚登山を目指したいです。
ああ~日本行きたいな~
by めぎ (2009-07-20 06:14) 

ナツパパ

HIROMIさん。
高さ5メートルほどの富士山なのですがね、登山となると、これがなかなか大変でした。
狭い登山道は足許に注意が必要で、しかも下山の方とのすれ違いもあるんですよねえ。
更にノンビリと写真を撮っている奴までいたりして(...わたしのことですがね)
...
それでも、頂上に立つと意外な高さ、そして見晴らし...なかなか良い気分でした。
さすがに、ヤッホー、とは言いませんでしたけれど(笑)
by ナツパパ (2009-07-20 08:01) 

ナツパパ

MORIHANAさん。
富士登山(本物の方ですね)は、一度はしてみたいな、と思っているんですよねえ。
もう10年以上も前から、友人とそう話しているのですが、腰が重くてなかなか。
そうこうするうち、50半ばになってしまい、ちょっと尻込み中です(笑)

そこに行くと、富士塚は、高くても10メートルほどですから、気分的に楽。
おまけに、地下鉄駅至近、も魅力です(笑)
今年はあと何座登れるでしょうか...目指せ50座、が当座の目標なんですけれど。

トムラウシ山の事故は驚きました。
若い頃歩いた、旭岳~黒岳縦走でも、とにかく長かったなあ、という記憶があります。
亡くなられた方々のご冥福をお祈りします。
by ナツパパ (2009-07-20 08:08) 

ナツパパ

takemoviesさん。
nice、ありがとうございました。
去年の夏は、富士塚巡りに熱中していて、一日4ヵ所を廻ったこともありました。
今年は、一緒に廻ってくれる友人が忙しくて、ちょっとペースが落ちそうですねえ。
でも、一つとして同じ形のない富士塚は、魅力があります。
暑さに負けず、またどこかに行きたいなあ、と思っているところなんです。
by ナツパパ (2009-07-20 08:12) 

ナツパパ

gopさん。
夏越の祓い、でしたかね、この茅の輪は。
くぐるのにも作法があって、右に回り左に回り、とずいぶん煩瑣なものでした。
手順が図解されていたので、その通りできましたがね、それ無しでは無理(笑)
作法というのは、段々ややこしくなるものみたいですねえ。

自動車用の茅の輪?ですかあ。
作法通りくぐれるのかしら(笑)
by ナツパパ (2009-07-20 08:17) 

ナツパパ

もうさっさん さん。
nice、ありがとうございました。
富士山の頂上には「浅間神社」の石祠があるのが通例です。
そこへお詣りすることで、富士さんに行ったぞ、という気分になる...
それが、この富士塚のキモであります。
江戸時代からのものなのですが、あの頃の皆さんは本当に遊び好きだったんだなあ、と思います。
あちこち細工もしてあって面白いですよ。
機会がありましたら、一度登山されてみて下さいね。
by ナツパパ (2009-07-20 08:21) 

ナツパパ

YAPさん。
そうなんですよ、この富士塚は、6月30日にも公開されているんです。
足かけ2日は珍しいですね。
通常は、7月1日、もしくはその前後に1日限りなんですが。
去年の7月1日は千住で登山をしまして、今年も公開期間限定の富士塚に登ることが出来ました。
来年はどうしよう、と早くも考えたりして...鬼が笑いますね(笑)。
by ナツパパ (2009-07-20 08:25) 

ナツパパ

今造ROWINGTEAMさん。
7月1日の山開きは、旧暦でも同じ日だったとすると、今の暦では8月に入ってからなんですよねえ。
今年の山開きでは(本物の富士山の方ですが)、頂上付近に雪が残っていて、
登山道が途中までだったとか。
温暖化の今でそうなら、昔はもっと雪も多かったのでは、と思います。
8月に入らなければ登山できなかったかもしれませんね。
by ナツパパ (2009-07-20 08:28) 

ナツパパ

トリバンさん。
富士信仰は全国に広がっていたようですが、富士塚となると、関東がほとんどでしょうか。
信州や東海にもあるのですが、ごく少数派、かもしくは、山を富士山に見立てた形ですね。
富士山型に石や土を盛って、という富士塚はほとんどが関東地方のようです。

なぜ?富士山が見えた場所に作られた、という説もありますが、どうでしょう。
単に流行りだったからじゃないか、というのがわたしの考えです。
他所で富士塚を見た人が、自分の住む地域に帰って作ろうとした、そしてそれがまた、
評判になって、見に来た人が自分の住む地域で...という形かなあ、と思うんですよねえ。
40~50年の間に400以上も富士塚が作られているいるのは、流行としか考えられなくて。
by ナツパパ (2009-07-20 08:36) 

ナツパパ

tateichiさん。
そうですね、浅草から来た、下谷根津千駄木、入谷のあたりも古くからの建物が残っていて
風情のある地域ですよね。
仰るように、だいぶ少なくなってきましたけれど、路地に人が住んでいて生活があって
という雰囲気は素敵なものですね。
街はやはり、人が住んでいてこそ、と思います。
by ナツパパ (2009-07-20 08:41) 

ナツパパ

めぎさん。
暑い暑い東京ですが、歩いているとなかなか風情のある景色に出会えます。
この富士塚なども、昔からある地域の拠り所で、お祭りでは人が集まって賑やかです。
夏祭り、盆踊り、花火...ああ、夏だなあ、と思う行事が続きますね。
高温多湿で厳しい夏の東京ですが、面白いものもたくさんありますよ。
めぎさんもぜひ。
by ナツパパ (2009-07-20 08:45) 

ナツパパ

pianoさん。
nice、ありがとうございました。
高校野球の予選も始まって、いよいよ夏だなあ、という気分になってきましたね。
ところが、梅雨がしつこい(笑)
関東は梅雨明けですが、他はまだ、昨日から関西で大雨とか。
なかなか走ることが出来ずpianoさんもフラストレーションが溜まっているのでは。
でも、もうすぐ夏本番、もう少しの辛抱でしょうか。
by ナツパパ (2009-07-20 09:14) 

myumyu

富士山は大変ですけど私も近くの富士塚、探して今度登ってみます、楽しい登山が出来そうですね。
by myumyu (2009-07-20 19:16) 

くーぷらん

下谷坂本の富士塚といえば、重要有形民俗文化財に指定されているものでしたっけ。
地元の人々に信仰され、愛されている姿を見ると心が温かくなります。
by くーぷらん (2009-07-20 19:58) 

りゅう

ウチの子連れて登るのならこの富士塚の方が良さそうですね〜

by りゅう (2009-07-20 20:27) 

いっぷく

最初の写真にある「輪」はその輪を通って参拝をするんでしょうか。
ちょっと珍しいですね。
富士塚って数も多そうですね
by いっぷく (2009-07-21 06:38) 

ナツパパ

da-kuraさん。
nice、ありがとうございました。
7月1日限定で公開される富士塚は、他にもいくつかあります。
そこを廻ってみたい、というのがかねてからの願いなのですが、なにしろ平日なので。
仕事を休んで...というのも、自営業のわたしには、逆に厳しい。
...といいつつ、この富士塚には行っているのですがね(笑)
今回は、昼休み時間を使いましたが、一つがせいぜいですねえ。
7月1日公開の富士塚全部を廻るには、あと5~6年はかかりそうです。
by ナツパパ (2009-07-21 08:46) 

ナツパパ

むねきちさん。
nice、ありがとうございました。
富士塚造りは江戸時代後期から始まり、明治前期まで流行しました。
富士山のミニチュアを造り、みんなで登山気分に浸ろう、といういわば遊び場なんです。
つくづく、江戸の皆さんは遊び好きだったんだなあ、と思いますね。
今でも、関東地方に400以上残っているそうですから、お近くにありましたら、
ぜひ一度登ってみて下さい。
結構面白いものですから。
by ナツパパ (2009-07-21 08:50) 

ナツパパ

myumyuさん。
よろしければ、一度ぜひお上りになってみて下さい。
富士山のあれこれがミニチュアになって作られています。
それを見つけるのも面白いものですよ。

東京都内では、江戸川区足立区、そして新宿区などに多く残っています。
西郊では、練馬区や清瀬市、所沢市など、横浜市の都筑区などにも何座かあるようですね。
「山に登ろう」にある拙稿に、もしお近くの富士塚がありましたら一度お運び下さい。

by ナツパパ (2009-07-21 08:56) 

ナツパパ

くーぷらんさん。
下谷は昔ながらの街並みや暮らしが残っている地域なので、昔からあるものは大切に
されているなあ、と思いました。
そうそう、朝顔市もこの近くで行われているんですよ。
ここの富士塚も、大切にされていて、きれいで気持ちの良いものでした。
その状態を維持管理していくためには、非公開も仕方ないのかな、と思いましたねえ。
そういう中で、日を限って公開してくれるのは有難いことです。
by ナツパパ (2009-07-21 09:00) 

ナツパパ

りゅうさん。
わたしが訪れた日も、お子さん連れのご家族が何組も登っていましたねえ。
お子さんたち大喜び。
それはそうですよね、ジャングルジムよりもっと手が込んでいて、隠れる場所もあって...
富士塚巡りの際、地域の方にお話を伺うことも多く、そうすると皆さん、子どもの頃よく遊んだっけなあ、
と仰います。
もし機会がありましたら、お子さんとご一緒にぜひ。
by ナツパパ (2009-07-21 09:03) 

あんこ

門がついていてとてもりっぱな富士塚ですね。
5メートルだと実際に上ってみるとかなりの高さに感じられるでしょうね。
気持ちよいけどしっかり踏ん張らないとちょっと怖いかも^^;
下からの写真でも高さがうかがえます。
先にナツパパさんが紹介されていた「東京山手・下町散歩」
買ってしまいました。旧版は手に入らず新版ですが確かに富士塚が
のっています! 
新版は地図のベースが茶色で見にくいので中高年の目に優しくないのが
つらいところですが(笑)拡大コピーして街歩きに使おうと思います。
by あんこ (2009-07-21 09:10) 

ナツパパ

いっぷくさん。
富士塚は多いですねえ。
都内では、江戸川区のように10座くらいあるところをはじめ、関東一円に多く分布しています。
市原市のように60~70座はある、というところもありますし。
すべてがこの富士塚のように、山の形をとっている訳ではないのですが、
それでもいかにも富士山という外観の富士塚もたくさん残っています。
最盛期から比べると、1/4くらいに減ったという話ですから、江戸時代には
そこら中に富士塚があったのでしょうねえ(笑)

茅輪は夏越しの祓いに魔除けとして用いられるものと聞いたことがあります。
茅に魔除けの力がある、と信じられていたのでしょう。
輪のまわりを右回り左回り、と廻ってから参拝するのだそうで、たいへん煩瑣な作法でしたねえ。
by ナツパパ (2009-07-21 09:11) 

ナツパパ

あんこさん。
あっ、新版が出たのですか、それは知りませんでした。
情報、ありがとうございます、さっそく探さなくちゃ。
富士塚マークも健在、嬉しいことです。

ここの富士塚、たしかに登ってみると高く感じられました。
おまけに頂上がタタミ一枚ほどしか無く...高所恐怖症のわたしはにはちょっと。
でもね、たった5メートルで震えたくない、という見栄が(笑)
写真がブレ気味なのは、震えていたからじゃなくて暗かったからです...たぶん(笑
by ナツパパ (2009-07-21 09:24) 

ひろころ

限定公開の富士塚、大切に保存されてるんですね。
関東地方に400もあるなんて初めて知りました。
溶岩のゴツゴツした感じ、威厳があってちょっといいですね☆
下から見てるイメージより高いんですね(^^*) 上ったら気持ち良さそう~♪
by ひろころ (2009-07-21 18:28) 

ナツパパ

甘党大王さん。
nice、ありがとうございました。
神奈川県秦野市の大山、江ノ島、そして富士登山が江戸時代の庶民にとって
3大旅行だったということです。
大山と江ノ島、そして成田山ですか、は講というグループで旅行する場合がほとんど、
物見遊山の旅でもあったのでしょうね。
富士登山はそれに比べ厳しい旅程で、とても物見遊山ではすまなかったと思います。
そこで、ミニチュアの富士山を、となったのでしょうね。
今まで残っている富士塚はどれも、地域の人たちによって大切に管理されているケースが多く、
いつも気持ちのいい登山が出来ます。
by ナツパパ (2009-07-22 08:10) 

ナツパパ

ひろころさん。
そうなんですよ、関東地方だけで400以上の富士塚が確認されています。
全部が、ここの富士塚のような大きいものではないのですが、富士山信仰の広がりが
実感できますね。
富士山が間近の静岡県にも少数ながら富士塚があって、吉原にもあるんですよ。
富士山の真下(笑)
富士山と富士塚のツーショットをいつか、と思っているのですが、さて出来ますか。
ひろころさん、東京にいらっしゃる機会があったら、ぜひどこかの富士塚を覗いてみて下さい。
都心にもいくつかありますので、さほど時間はかからないと思いますので。

by ナツパパ (2009-07-22 08:14) 

ナツパパ

飛狼さん。
nice、ありがとうございました。
夏は富士山だ、と友人のS君とも話をしているのですが、いかんせん彼も忙しく...
はたまた、夏hが暑いなあ、なんて軟弱な意見も飛び出したりして(笑)
9月がやってくるまで、目指せ5座登頂!!!
...は、どうなるでしょう。
あっ、これは、いわゆる「マニフェスト」ではありませんからね(笑)
by ナツパパ (2009-08-03 08:34)