備前一宮駅 【日本一宮駅巡り 其の三】 [駅に行こう]
「備前一宮」駅は、吉備線にある。
岡山駅17番線には、吉備線総社行きのディーゼルカーが止まっていた。
2両編成だがワンマンカーなので、岡山と総社を除くと、ほとんどの駅では後ろの車の扉が開かない。
そんな不便はあるのだが、吉備線は乗客が多いので2両編成は助かる。
この普通列車も、2両ともシートは埋まっていた。
岡山駅を出発すると、列車は郊外の住宅街を走っていく。
岡山から2つめの「大安寺駅」を出て、ようやく田園風景が車窓に広がってきた。
その風景の中をノンビリ走って、次の駅が「備前一宮駅」だった。
備前一宮駅の駅舎である。
穏やかな田園風景とやわらかな秋の陽射しの中に建っていた。
吉備線ができた頃からの建物で、もう築100年以上だそうである。
残念なことに、この駅舎は11月いっぱいで取り壊しの予定という(この駅は11月中旬に訪ねました)。
新しくできる駅舎は、コンクリート製の、例の無個性なものになるらしい。
駅前で自転車の整理をしていたご老人がそう教えてくれた。
「いいときに来た。せっかくだからきれいに撮ってってな」
自動販売機で買った切符を入れて、駅舎の記念写真をパチリ。
わたしも良い思い出になりました。
備前一宮駅から歩いて5分ほどのところに、「吉備津彦神社」がある。
ここは備前国の総鎮守、一の宮である。
長い参道を歩いていくと立派な門があった。
本殿は、山を背にして立っていた。
上の写真のように奥行きのある立派な建物だ。
本殿の後ろの山は、この界隈を治めた吉備津彦のお墓(古墳)があるところ。
古代から上代、吉備というところは吉備津彦に治められた、大和とは違う文化圏の地であったらしい。
その地が、大和朝廷に組み込まれていく過程で、吉備津彦もこの地の神として祀られるようになったのだろう。
それは、出雲の「大国主命」とよく似ているように思う。
面白いのは、「吉備津彦神社」の、山を挟んだ反対側にも、「吉備津神社」があるということ(写真上)。
「吉備津神社」も「吉備津彦神社」と同じ、この山をご神体としているのである。
同じ山を二つの神社がご神体とするのも珍しいだろう。
吉備津彦が、この地でどれだけ力があったのか、を物語っているように思う。
「吉備津彦神社」が備前国一の宮であるのに対して、「吉備津神社」は備中国一の宮なのだそうだ。
両神社のあいだを、国境いの小さな川が流れているのだとか。
こんなに近くに(約2㎞)一の宮が二柱もあるなんてねえ。
「吉備津神社」へは、隣の吉備津駅が便利なんだけど、まさか備中一宮駅にはできなかったんだろうなあ。
おまけ 備前一宮駅には「ももたろうの里」という看板がありました。
そう、ここは、ももたろう伝説の舞台なんであります。
備前の人たちは、郷土の英雄「ももたろう」をそれは誇りにしているわけで...
一方、鬼ヶ島は、これが備中にあったらしいですね。
でもね、備中の人に言わせると...ももたろう伝説では、鬼ってなっているけどそれはちがう。
備中の人たちに鉄の農機具や米作などをもたらし、生活を良くしてくれた御領主だったのだ。
それなのに...
備中の人の中には「ももたろう」が大嫌い、あれは泥棒だ、という方もいらっしゃるとか。
彼の地にお出でになることがあったら、「ももたろう」を褒めない方が良いかもしれません。
我が山口県にも「長門一宮駅」が、、、、。
あ、新幹線が出来たとき、「新下関駅」に変わったんだ。(-_-;)
by トリバン (2007-12-13 18:34)
一宮を巡る旅、順調ですね(^^
昔、私も総社〜備中高松〜吉備路回りました。
岡山吉備路と言えば桃太郎、岡山駅には桃娘なんていましたっけ。
ただ一宮同様、桃太郎伝説も日本各地にあるんですよね(^^
http://www41.tok2.com/home/kanihei5/momo.html
by gop (2007-12-13 21:35)
takagakiさん。
niceを、ありがとうございました。
鍋の美味しい季節ですね。
わが家はキムチ鍋を始め、いろいろな鍋で楽しんでいます。
by ナツパパ (2007-12-14 08:20)
トリバンさん。
おおっ、トリバンさんは山口県のご出身でしたか。
今は、ふぐの美味しい季節...行きたいなあ。
長門一宮駅には行きましたねえ。
新下関に改名される寸前でした。
岡山から在来線の特急電車に乗ってずいぶん時間がかかりました。
今から思うと、山陽本線を在来線特急で、だなんて得難い経験ですよね。
by ナツパパ (2007-12-14 08:23)
gopさん。
そうだったんですね、桃太郎ってあちこちで伝わる話だったんですね。
すると、鬼ヶ島になっちゃった所だってあちこちに...桃太郎嫌いの土地も多いかも(笑)
一宮駅巡りはノンビリ楽しみながら、と考えていたのですが、思っていたよりペースがはやいです。
by ナツパパ (2007-12-14 08:30)
備前一宮駅、古い駅舎のスタンダードといった感じですね。
このタイプも年々減っていくんでしょうね。
by かめむし (2007-12-15 05:32)
デザイン屋さん。
nice、ありがとうございました。
ブログ拝見しました。素敵な写真ばかり...思わず見入ってしまいました。
青山界隈も暫く行っていません。
散歩したいですねえ。
by ナツパパ (2007-12-15 14:04)
かめむしさん。
そうなんです。こういった昔からの駅舎が少なくなっているんですよ。
駅員無配置駅が増えて、駅舎の維持管理が大変なんだろうと思います。
こういった、なんでもない平凡な駅舎が好きなんですけれど...
なかなかお目にかかれなくなってきました。
by ナツパパ (2007-12-15 14:06)
一宮駅シリーズ、好調ですねぇ(^^)
古い駅舎,駅弁・・・鉄道の旅から風情(と食い気?)どんどん少なくなっていくのが惜しいですよねぇ。
by きょうパパ (2007-12-15 21:15)
きょうパパさん。
鉄道施設で、古くから残っている建物などは、「鉄道遺産」と呼ぶのだそうですね。
そうやって保護していく動きがあるのは嬉しいことなんですが、新しい建物の
設計をもう少し考えて欲しい、と思いますねえ。
なんだか効率一辺倒で無機質な感じが馴染めません。
by ナツパパ (2007-12-17 08:40)
こんな駅舎が今でもあるなんて!!なんだか感激です。
ももたろうは正義の味方だと思っていたのですが…
昔話って意外と奥が深いですよね。
by じゅんぺい (2007-12-18 04:38)
じゅんぺいさん。
そうそう、「ももたろうは正義の味方」は全国的な見解(笑)というものだと思っていました。
そうじゃない所もあったんでビックリです。
そういえば、昔話ってよく読んでみると意外と残酷だったりしますよね。
by ナツパパ (2007-12-18 08:35)
100年前の駅舎、ぎりぎり見ることが出来て良かったですね。
ももたろうって、戦争を正当化するための、
勝者の物語なのかもしれませんね。
by manamana (2009-09-22 16:37)
manamanaさん。
先日、偶然テレビでこの駅を放送していましたが、新しく立派な駅舎になっていました。
それはそれでよかったのですがね、旅情とか雰囲気はこちらの駅舎が数倍も良いですね。
いつも利用していらっしゃる、地元の皆さんのご意見はまた別かな、とは思いますが。
そういえば、鬼ヶ島から帰ってきたあと、桃太郎と3匹の家来、宝物の配分はどうしたんだろうなあ、
なんてつい思っちゃうんですよねえ。
by ナツパパ (2009-09-23 09:54)