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浦賀まで叶姉妹に会いに行く [狛犬さん見物]

 

 

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 ゴールデンウィークの或る日、S君と二人でやって来たのは横須賀市の浦賀である。

 浦賀は、三浦半島東部、横須賀の南にあり、深く切れ込んだ湾を囲むようにして街が広がっている。

 江戸時代には、江戸湾の入り口にある港として、廻船問屋や干鰯問屋が軒を連ね、繁栄した港町だった。

 ここには昔からの由緒ある神社や文化遺産が多い。

 そこを訪ねての、今回の散歩である。

 

 

 

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 駅を出ると、目の前には大きな建物が...浦賀ドックと呼ばれた造船所の建物である。

 浦賀湾の奥に作られたこの造船所は、長い間艦船の製造や修繕をしてきたが、2003年閉鎖されてしまった。

 

 大きな建物もドックの跡も、壊すにも手間とお金がかかるのか、そのまま残っている。

 それは少し寂しい風景...なにか再利用の手立てはないものなのだろうか。

 

 造船所跡を過ぎ、浦賀湾の西岸に沿って歩いていく...晴れて暖かい日和に潮風が気持ちいい。

 

 

 

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 駅から10分程、目指す「叶神社」にやってきた(写真上)。

 浦賀には、「叶神社」が2軒あって、湾の両岸にそれぞれ1軒ずつ、ここは西岸の「西叶神社」である。

 

 

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 参道を歩いて神社本殿まで来た。

 本殿は小高い丘の中程にあって、重厚な作りが素晴らしい建物だった。

 社伝によれば、平安末期の文覚上人が上総国鹿野山に籠って、遥か京都の「石清水八幡」に源氏再興を願い、

 その願いが叶ったお礼に、1181(養和元)年、「叶神社」を創建したのだそうだ。

 

 

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 本殿は彫刻が素晴らしい(写真上)。

 この建物は1842(天保13)年に再建されたものだそうで、総工費約3000両。

 そのうち、約1/7にあたる411両を彫刻に使ったそうだ。

 廻船問屋が軒を連ねていた浦賀の繁栄が、こういった立派な本殿を造ったのだろう。

 

 

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 鳥居を抜け、階段を上がってきて、本殿の前に狛犬が置かれていた(写真上)。

 獅子の形をした立派な狛犬で、威風堂々、神社を守っていた。

 ところで、上の写真には、2組、都合4体の狛犬が写っているのだが、お分かりになるだろうか。

 

 

 

 

            

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 階段を上りきったところ、石塀の陰に、こうやって狛犬がのぞいていた(写真上)。

 その仕草、そして姿形がなんとも可愛らしい。

 

 高さ1メートル程だろうか、よく見なければ気がつかないところから参詣者を見ていた。

 こういう形の狛犬は初めて見たが、この狛犬を寄進した方々の遊び心がどうにも心憎い。

 江戸期に繁栄を究めた浦賀の町衆、その人々の余裕が感じられる、嬉しい姿形の狛犬だった。

 

 

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コメント 33

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HIROMI

「叶姉妹に会いに行く」という題名から、
「ナツパパさんてば、その世界へいっちゃってるんだ…」と思ってしまいました。
狛犬さんでしたか。確かにナイスな遊び心で作られた狛犬さんですね。ちょっと色っぽいかも。(狛犬に性別ってあったんでしたっけ)
by HIROMI (2009-05-02 08:34) 

じゅんぺい

叶姉妹?なんで?と思ったらそういうことでしたか!!nice!タイトルです(笑)
by じゅんぺい (2009-05-02 09:58) 

hideyuki2007y

アップダウンの多い三浦半島の様子を思い出しました。数年前に京浜急行線途中の追浜に一年間住んでいました。浦賀にも散歩がてら行きましたが、こんな伏兵がいる神社があったのですね。
by hideyuki2007y (2009-05-02 10:10) 

あんこ

りっぱな木彫りに往時の繁栄がしのばれます。
そしてそしてこのちっちゃい狛犬さん!
参拝客の何人が気づいてくれるんだろう。
柱の陰からちょこんとのぞいている愛らしい姿にやられますねぇ^^/
ナツパパさんのおかげで狛犬さんの奥の深さを知りました。
神社にお参りするたびにキョロキョロしそうです(笑)
by あんこ (2009-05-02 10:18) 

komaQ

浦賀辺りも変わった狛犬さんが多いんですか?。

両方共、味がありますね。
そういうご時勢だったのか判りませんが当地の方々は、ユーモアたっぷりですね。
by komaQ (2009-05-02 16:52) 

ナツパパ

MORIHANAさん。
nice、ありがとうございました。
連休に入って、札幌も桜が開花、いよいよ春本番ですね。
今年も桜梅桃が咲き誇っているのでしょう。
良い季節...連休をたくさん愉しんで下さいね。
こちらはもう初夏の陽気で、歩くと汗が出そう。
でもまだ空気も乾いていて爽快です。
by ナツパパ (2009-05-02 17:33) 

ナツパパ

HIROMIさん。
おお、期待していたとおりのツッコミ、ありがとうございます(笑)
浦賀を歩いているとき、S君がふと洩らしたオヤジギャグなのですがね(笑)
彼も実際に題名にするとは思わなかったでしょう...でも、つけてしまいました(笑)。

それはさておき、浦賀の街は江戸時代頃のものが多くあって愉しむことが出来ました。
街の仕組みが昔から変わらなかったのでしょうね、きっと。
そうそう、中国の獅子は雌雄一対だそうですが、基本的に狛犬は雄なんだそうです。
でも、そこはファジーな日本のことですから、雌の狛犬も多いんです、じつは
by ナツパパ (2009-05-02 17:41) 

ナツパパ

takemoviesさん。
nice、ありがとうございました。
三浦半島は海と山、林と住宅が混在していて、とても面白いところでした。
おまけに鎌倉時代から開けたところなので、昔の神社仏閣がとても多いのですねえ。
今回は浦賀と横須賀しか回れなかったのですが、もっと色々な地域を訪ねたいなあと思います。
海開きまでが勝負かな、それ以降はとても混みますのでね(笑)
by ナツパパ (2009-05-02 17:48) 

ナツパパ

じゅんぺいさん。
タイトル、自分でもどうしようか迷いつつ付けたのですがね、愉しんで頂けて嬉しいです(笑)
叶神社には、どちらの神社も「合格祈願」の絵馬がたくさんありました。
そうだここだったんだよねえ、とS君と目をあわせたりして...3年後はお願いに来ましょう。
その節はよろしくお願いします...と、お賽銭を張り込んじゃいました(笑)
by ナツパパ (2009-05-02 17:51) 

ナツパパ

hideyuki2007yさん。
そうそう、仰るように、三浦半島は起伏が多くて、坂の多い地形でした。
...で、神社というのは山の上にあることが多いのですね、悪いこと?に(笑)
夕方には足腰がたがた、駅の階段にも溜息をついちゃったりして(笑)
でも、十分愉しむことが出来た一日でした。
浦賀はまた行きたいですね、もっと面白いものがあるように思います。
by ナツパパ (2009-05-02 17:55) 

ナツパパ

あんこさん。
わたしもね、この狛犬にはやられました(笑)
小さくて可愛らしい狛犬、こういう形は初めてでしたので。
威風堂々の狛犬も立派で良いのですが、こういう形の狛犬も魅力があるなあ、と思います。
こういう遊びが、江戸時代の人々の感性なのかもしれませんね。
by ナツパパ (2009-05-02 17:59) 

きょうパパ

タイトルに私も惹かれました~(^^)
by きょうパパ (2009-05-02 18:04) 

ナツパパ

da-kuraさん。
nice、ありがとうございました。
浦賀には京浜急行で行くのですが、浦賀に行く線は堀之内駅で本線から分岐します。
堀之内駅までは、快速特急に乗ったのですが、これが飛ばすこと。
先頭で見ていると、カーブへの進入速度が半端じゃないんですよねえ。
おおお...って興奮してしまいましたねえ。
京急は過激で嬉しい存在です。これからも尖っていてほしいなあ、とおもいましたねえ。
by ナツパパ (2009-05-02 18:04) 

ナツパパ

komaQさん。
ホント、ユーモアたっぷりの狛犬ですね。
おそらく地域の方々の発案であり寄進だと思うのですが、こういう遊び心は良いなあと思いました。
狛犬の姿形はキッチリ作られているので、遊び心が「お遊び」にならなずに済んだのではないでしょうか。
これからも大切に残してほしい狛犬ですね。
by ナツパパ (2009-05-02 18:09) 

ナツパパ

きょうパパさん。
あはは...ありがとうございます。
狙いどおり、というかとおり過ぎちゃった、というか(笑)
でも、浦賀の神社は良いところでした。
浦賀自体も地味ながらなかなか愉しいところでしたねえ。
これで美味しい料理やさんでもあればいうこと無しなんですが...
by ナツパパ (2009-05-02 18:11) 

ナツパパ

pianoさん。
nice、ありがとうございました。
狛犬は、作られたのが古い程ユニークなものが多いんです。
明治以降はどうも画一的、戦後はもっと...今は中国で作られる狛犬が大多数なんです。
どうも淋しい...で、古い狛犬を見つける散歩をすることが多くなりました。
江戸時代初期の狛犬など、脱力系あり笑かし系ありで見ていて飽きませんねえ。
by ナツパパ (2009-05-02 18:16) 

めぎ

叶姉妹が分からなかっためぎです・・・
狛犬のことをそう呼ぶのかなあって、思いながら読み始めちゃいました。
ああそっかーと、あとから。
by めぎ (2009-05-03 01:25) 

okayu

以前も思ったのですが、タイトルつけるのお上手ですね(笑)。
彫刻の一つ一つを丁寧に見たいです。すごいですよね。
覗いている狛犬、かわいいですね。
それに気づいてアップで撮ってあげたナツパパさんの感性も素敵です。


by okayu (2009-05-03 09:30) 

YAP

神社の彫刻や狛犬もすごいのですが、エンジニアとしてはドックの跡に興味があります。
昔は栄えてたんでしょうね。
by YAP (2009-05-03 10:17) 

ナツパパ

めぎさん。
あっ...そうでしたか、それは想定外の展開でした(笑)
今回のはあくまでもオヤジギャグでして(笑)
次回は東叶神社編を予定しておりまして、。それで姉妹揃うことになりそうです。

by ナツパパ (2009-05-03 16:32) 

ナツパパ

okayuさん。
タイトルをお褒め下さいましてありがとうございます。
なんだかオヤジの戯言みたいで汗の出るところですが...
口に出して読むと妙に調子が良いので、何故だろう、と思ったら575になっていました。
やはり日本語はこのリズムが適っているのかもしれません。
あとに77をつけて短歌に...と思ったのですが、うーん、思い浮かばないや(笑)。
by ナツパパ (2009-05-03 16:37) 

ナツパパ

YAPさん。
江戸時代は、廻船が立ち寄る港として繁盛していたそうです。
浦賀は江戸からすぐの港、その後は三浦三崎かさもなくば、相模灘を突っ切って下田ですから、
日和待ち風待ちとして重宝だったのかも知れませんね。

造船所は、浦賀ドックから住友重工浦賀造船所になり、主として自衛隊の護衛艦を
製造修繕していたそうです。
ドックの大きさも、確かにそれくらいの船しか入りそうにありませんでした。
横須賀が近くなので便利だったのかも知れませんね。
by ナツパパ (2009-05-03 16:43) 

myumyu

私も叶姉妹の写真を撮ったのかな?と思いましたよ。
柱の陰からちょこんとのぞいている狛犬、とっても愛くるしい狛犬ですね、本当に狛犬の奥は深いですね。
by myumyu (2009-05-04 22:20) 

ナツパパ

神無月さん。
nice、ありがとうございました。
三浦半島は東京の近くなので、いつでも行けるところと思っていたんですね。
行ってみると、とても奥が深いところで、古いもの新しいものが混在する
素敵な地域でした。
また出かけたいなあ、と思っています。
by ナツパパ (2009-05-05 08:33) 

ナツパパ

myumyuさん。
あはは...すみません、なんだか紛らわしい名前で(笑)
といいつつ続編も載せてしまったナツパパです(汗)

西叶神社は立派な本殿と愛らしい狛犬で、とても素晴らしいところでした。
「郷社」とありましたから、地域の鎮守様になるのでしょうが、とてもそんな程度の建物ではなく、
この地域が、江戸期にはいかに繁栄したところだったかが分かりましたねえ。
by ナツパパ (2009-05-05 08:37) 

飛狼

かくれんぼしている子狛犬(?)^^
小さいほうが古いように見えますね。


by 飛狼 (2009-05-05 13:53) 

ナツパパ

飛狼さん。
そうですね、小さな狛犬の方が作られた年代は古いみたいです。
かくれんぼうの狛犬は、ホントにわかり難いところにありましたねえ。
それがかくれんぼうではあるのですが(笑)、分からなかったらそれでもいいや、
という感じ、とても遊び心に溢れていました。
by ナツパパ (2009-05-06 08:07) 

ナツパパ

甘党大王さん。
nice、ありがとうございました。
浦賀の街は、湾と背後の山の間、狭いところに家が並んでいます。
で、大きなスーパなど見出来ないみたいで、個人商店が元気でした。
造船所の跡地を再開発すれば面白い施設も出来るのでしょうが、そうなると個人商店は大変。
難しいところですねえ。
by ナツパパ (2009-05-06 08:10) 

ナツパパ

myumyuさん。
nice、ありがとうございました。
by ナツパパ (2009-05-08 07:55) 

ナツパパ

くーぷらんさん。
nice、ありがとうございました。
遠くに行かなくても、旅の気分が味わえるものですね。
普段とは違った、港町という雰囲気はとても新鮮でした。
翌日の仕事を気にせずゆっくり出来るのは、連休の有難いところでした。
by ナツパパ (2009-05-12 08:28) 

ナツパパ

yutakamiさん。
nice、ありがとうございました。
浦賀の街は、一番良いところを造船所の跡が占めています。
駅前のロータリーからそうですから、これは問題だと思いますねえ。
取り壊しも再開発もお金がかかりそう、でそのままなんでしょうけれど。
もったいないなあ、と思いましたねえ。

by ナツパパ (2009-05-16 07:40) 

me

タイトルに驚きました(笑)。御親戚の方だったのかと・・・。
鍛えられた感じのする狛犬ですね。
陰からそっと見ている狛犬さん・・・その仕草が可愛らしいですね。
by me (2009-05-24 01:32) 

ナツパパ

meさん。
つい、こんな題名を思いついてしまい、皆さんの想像力(妄想力? 笑)を刺激してしまいました。
浦賀の叶神社は古くからあって、地元の信仰を集めたところだったようです。
それだけに社殿を始め狛犬まで立派なものばかりでした。
廻船問屋などの富裕な商人が氏子だったからでしょう。
お金がかかっているばかりでなく、洒落たところもたくさんある神社でした。
by ナツパパ (2009-05-24 15:00)