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室蘭1975年夏 [記憶に残っていること]

 

             

 

 夏が近づくと、わたしは北海道のことを思うようになる。

 札幌生まれの妻と一緒になってからずっと、夏は家族で北海道に帰省するのが習いとなった。

 今年も息子と妻の3人で北海道に行くことになっている。

 

 

ただ、ここのところ旧盆の時期になっても仕事が忙しい。

 

 で、わたしは行きと帰りだけの参加で...ブックエンドのお父さん、だなんてニックネームが...

 

 

 さて、わたしと北海道とのお付き合いは、ずいぶん前からである。

 大学生の頃から暇を見つけては(...あの頃は、どうしてあんなに暇があったのか)北海道を旅行した。

 

 ちょうど蒸気機関車の終焉期だったので、わたしも、あちらこちらで蒸気機関車の写真を撮ったものだ。

 上の写真もその一枚。室蘭駅を出発した客車列車である。

 

 

 室蘭は、小さな湾を抱えた岬に出来た町で、その岬の突端が室蘭駅である。

 札幌や函館に行く本線は、岬の付け根、東室蘭駅を通っている。

 

 30年前の日本は、まだ重工業が盛んな時代で、室蘭には大きな製鉄所や鉄工所があった。

 室蘭~東室蘭は短い区間だが、工場の従業員や住民の為に駅が多く、区間列車も頻繁に走っていた。

 当然乗客も多くて、この区間の国鉄は、北海道とは思えぬほど活気に溢れていた。

 

 線路の脇で待っていても、たくさんの列車が通り、見ているだけで飽きない場所だったのだ。

 わたしはそんな室蘭が好きで、何回も通ったものだった。

 

 

 

 

 室蘭駅には機関車の車庫が併設されていた。

 当時は、ここと、室蘭本線の追分機関庫が蒸気機関車の拠点で、多くの機関車が残っていた。

 駅に沿った道からは、蒸気機関車が間近に見られたのだった(写真上)。

 

 蒸気機関車はもう老齢で、あちらこちら草臥れているように感じられた。

 それでも、さすがに国鉄、整備は行き届いており、きれいに清掃されているようだった。

 

 

                    

 

 ちょうど夏、北海道にしては暑い日盛り、蒸気機関車の乗務員さんたちが、出発を前に休んでいた。

 これからどこかまで、石炭が焚かれている缶を前に、汗だくの奮闘が待っているのだろう。

 

 写真の、蒸気機関車の運転席を見ると、すべてが人の手で動かされるようになっている。

 そこは、長い間積み重ねられた経験や技術が大切にされ、ウデとか、カンとかが重要な世界...

 もうそれらは、過去の遺産なのだろうか。

 

 デジタル...だなんて身の回りになく、そんな言葉もよく知らなかったあの頃。

 今ではアナログといわれてしまう技術ですべてが動いていて、それで上手くいっていた時代。

 

 そんな時代を思うと、ふと、懐かしさを覚えてしまうのだが、それは多分感傷にすぎないのだろう。

 

 

       


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コメント 16

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YAP

私が働いているクルマの世界でも、デジタル的テクノロジーで動いているのですが、仕事の多くの部分は、アナログ的、職人的な部分が多く残っています。
きっとどんな世界でも、新人がハイテクの助けですぐにバリバリ働けるようなことはなく、やっぱり昔からの経験や勘どころで次の世代へつないでいくものがあるのではないでしょうか。
by YAP (2007-07-14 18:01) 

うんちく

所詮人間ですから最終的にはアナログになってしまいます。
仕事柄通信機器を弄る事が有るのですが若い連中にネジ締めをやらせるとめちゃくちゃな事になります。
 「しっかり締めろ」と言うとネジ(ボルト)の頭が潰れる位締めるので「締め過ぎだ」と注意すると手で簡単に回る位緩く締める訳です。
 結局ありとあらゆるネジ締め作業にトルクレンチ(ドライバー)を採用しなければならなくなってます。
 確かにトルク機器を使うとONかOFFかで正確なトルクが判るので間違いでは有りませんがいちいちトルク指定をしないとネジ一本締められ無いのでは莫大な時間とコストを浪費する事に。
 初めてエアコンの取り付けをしてフレアナットを締めた時に師匠曰く「わしはここにトルクレンチが入っとる」と言って右腕を叩いたものでした。
 
by うんちく (2007-07-14 19:58) 

gop

そうは言ってもこの世の中、便利になれば成る程人間本来持つ身体能力は退化して行くと思いますよ。写真や絵一枚加工するにしても、手焼きや筆を使い両手両腕を動かしながら仕上がりを考えるのと、片手でマウスを動かしながら考えるのとでは明らかに思考感覚が違うでしょう(作品の仕上がりはまた別の話し)

最後の旅客牽引車C57135、また大宮で見れますね。
by gop (2007-07-15 06:32) 

ナツパパ

takagakiさん。
nice、ありがとうございました。
台風が来ましたが、そちらはいかがでしたでしょうか。
by ナツパパ (2007-07-15 10:28) 

ナツパパ

なぎ さん。
niceを、ありがとうございました。
素敵なブレスレットをつくっていらっしゃるんですね。
わたしなんか、不器用で、細かい作業が全くダメなんです(涙)
by ナツパパ (2007-07-15 10:30) 

ナツパパ

YAPさん。
自動車産業というとハイテクばりばりのところかと思っていました。
そうじゃない、と伺ってホッとする気持ちです。
やっぱりそうなんだよなあ...そういう気持ちになれました。
嬉しいです。
by ナツパパ (2007-07-15 10:32) 

ナツパパ

うんちくさん。
人間が係わるところでは、やはり、カンとかウデが必要になりますよね。
そこの教育を軽視すると、結局ツケは大きくなって戻ってくる、と言うことなのですね。
伝えていくことの大切さを、もう一度考えな直さなければならないのかも知れません。
by ナツパパ (2007-07-15 10:37) 

ナツパパ

gopさん。
新人は修行、と言うか学ぶことが大切だ、と言う意識は今でもあると思うんですよね。
でも最近は、その内容や期間が厳しいものになると、どうもダメみたいですね。

ただ、わたしも新人の頃、同じようなこと言われた覚えがありましたがねえ
...おまえらは、すぐ音をあげてダメだなあ...なんて。

C57135、そうですね。再会を楽しみにしています。
by ナツパパ (2007-07-15 10:43) 

ナツパパ

MORIHANAさん。
nice、ありがとうございました。
この時期になると、なんだか北海道の話題が多くなってしまうんです。
きっと、期待で盛り上がってくるのかも知れませんねえ。
by ナツパパ (2007-07-15 10:45) 

Fです

室蘭とはなつかしいところが出たものだ。
室蘭YHに君と一緒に行かなかったっけ。
by Fです (2007-07-15 20:54) 

ナツパパ

Fさん。
そうそう、行きましたねえ、室蘭YH。
駅から坂道をずーっと上っていくのね。
あれ、けっこう辛かったですね。
by ナツパパ (2007-07-16 10:35) 

gillman

力とかパワーって本来目には見えないものなんですが
蒸気機関車を見るたびに
それが目に見える形になっているなあって思います
そんなもの、今身の回りにありませんよね
by gillman (2007-07-16 20:14) 

ナツパパ

gillmanさん。
蒸気機関車の造形は素晴らしいと思います。
いかにも力強いですよね。
蒸気を動力源にしているところが原因なんでしょうか。
電気やディーゼルですと、こうはいかないんですよねえ。

gillmanさんの仰るとおり、最近身の回りに、こういった力強いもの無くなりましたね。
by ナツパパ (2007-07-17 16:14) 

ナツパパ

じゅんぺいさん。
nice、ありがとうございました。
秋田には、いつ頃からお出かけでしょう。
今年は渋滞が少ないと良いんですけど。
by ナツパパ (2007-07-19 09:31) 

norinori

動態保存運転での蒸気機関車しか知らないので、
貨物で走っていた頃を見てみたかったなぁと思います。
ふと近くの梅小路に行きたくなりました。
by norinori (2007-07-29 08:24) 

ナツパパ

norinoriさん。
わたしの祖父の家は、新金線という貨物線沿いにありました。
30分おきに通る貨物列車は、子どもの頃はSLの牽引で、それは迫力がありましたよ。
手をのばせば届くような場所からSLを見ていて、それで何ともなかったのですから、
当時はノンビリしていたのでしょうね。

梅小路、久しく訪ねていません。行きたいなあ。
by ナツパパ (2007-07-29 13:45)