オクムラケイコさんのこと [器を愉しむ]
オクムラケイコさんという陶芸家とは長いお付き合いである。
愛媛県松山市の出身で、現在は青梅市に工房を構えて作陶を続けている。
もう25年も前になるだろうか、小樽市にあったギャラリーで彼女の作品に出会い、
まず妻がファンになった。
その食器を日常使っているうちに、わたしもファンになり、今に至るまで愛用している。
彼女の食器は陶器で、ぽってりとした釉薬がかかっている。
だから、手に持った感触、口当たりなどがとても柔らかくて、使っていてホッとするのである。
以前は食器には、花とかカニとか、可愛らしい上絵を書いていた。
それがいつの頃からか、上絵の題材が野菜に変わってきて、今はほとんどが農作物である。
わが家の、オクムラさんの皿や小鉢は、大根やアスパラガス、ジャガイモが描いてある。
実は、オクムラさんは、赤坂見附のギャラリーで展示会をやっている。
案内状を頂いた。
ギャラリーの名前も書きたいのだけれど、明日までなのでやめておきます。
それで、今日、妻とそのギャラリーに行って作品を見てきたのである。
展示会なので、いつもの食器とは少し違う作品がならんでいた。
花器とかオブジェのような。
もちろん食器もあったのだが、なにしろ一点ものが多いので売約済みばかりであった。
「あーあ、残念」と、溜息をついて店を出た。
「ちょっと、銀座につきあってくれない」 と、妻が言う。
なんだか鼻息が荒いぞ。
オクムラさんの作品が手に入らなかったので、このままじゃあ収まらないみたいだ。
でも、昼には友人と食事の約束がある。
その後は、仕事で春日部まで行かなくちゃならない。
出来るだけ穏やかに、そう妻に「申し上げ」 た。
一瞬殺気を感じたのは、あれは錯覚だったのだろうか。
妻は、「じゃあね」 と別れていった。
仕事を終えて帰宅したら、わたしの部屋にスカートと靴が 「展示」 してあった。
レシートも机の上に展示してあったのは、これは何かのおまじないなんだろうか。
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