大阪の「ようび」 [器を愉しむ]
大阪に行くとき、必ず寄る店が何軒かある。
大阪駅近くの「ようび」という店もその一つだ。
和洋の食器を扱う店である。 小さな店なのだが、ぎっしりと食器が詰まっている。
どれも選び抜かれた品物で大変使いやすい。
或る人がこの店について絶賛している
「なんでもいいから、手に取ったものを買ってみたまえ。(それでも)絶対ハズレがない店だ」
食器類は、店主が選んだものか、または作家に依頼して作らせたものだ。
高名な作家の作品も多い。
そして、この店には面白い規則がある。作家の名前を教えてくれないのである。
商品には値段は書いてあるものの、作った人の名前は書いてない。
聞いても買うまでは教えてくれない。
別に意地悪でしているのではない。
作家の名前に惑わされず食器それ自体と向き合ってほしい、という店主の願いからなのだ。
これはこれで立派な見識である、とわたしは思う。
値段は1つ数百円のものからある。
客の懐具合に応じて、それぞれ納得のいく品物が揃っている。
さすが大阪で40年近くも繁盛してきた店だけのことはある。
こういった店が東京にあったら、と思うが残念大阪本店だけである
(一度東京に出張してきたことがあった)。
そして、大阪はおいそれと行けるところではない。 わたしも、ここ4年ほどは訪ねていない。
ところが一週間ほど前、偶然「楽天市場」に出店しているのを見つけた。
小躍りして「ようびネット支店」を見たら、欲しくなるものばかりが掲載されている。
わたしは、阪東晃司作 豆彩湯飲み を買うことにした。
豆彩というのは中国の絵柄で、果樹や鳥などがたのしく描かれている。
きょう、品物が到着した。 気に入って使えそうである。
その後、「楽天市場」を見ていて面白いことに気がついた。
ネット支店では作家の名前が堂々と出ているのだ。
郷に入れば‥‥ということなのだろうか。
この柔軟性も大阪商人の持ち味だろうな、と思った。
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