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日の下に新しきものありやなしや [乗り物大好き]





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 写真上は「ホンダジェット」であります(写真はネットから拝借しました)。

 自動車メーカ―であるホンダが長い期間をかけて開発し、2012年に実用機として完成させたもの。

 小型でありながら高性能で、2021年現在170機と、売れ行きも上々と聞く。




 さて、そのホンダジェットを見ると、なにより特徴的なのは、主翼上面に付いたジェットエンジン。

 こういった形は非常に珍しいようだけれど、奇をてらったわけではなく、理由があるようだ。




 通常、ビジネスジェット機は、胴体後方両舷にエンジンをつけているが、ホンダジェットのような形にすると、

 胴体内のエンジンを支持する構造が不要となって、軽量かつスペースに余裕ができるのだとか。

 また、翼面上部のエンジンは、燃費、巡航速度、航続距離でライバルに10%くらいの優位に立てるらしい。

 そんなこんな、いいことづくめで、開発担当者は、アメリカの権威ある賞をいくつも受賞した。




 ...でね、このスタイルのエンジン、でも、どこかで見たぞ...と、ふと思ったわけですね。







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 2016年3月、わたしたち夫婦はヨーロッパに旅行したことがある。

 ウィーン、ミュンヘンなど、オーストリアと南ドイツを巡る旅で、その折、「ドイツ博物館」も見学した。





 その時の写真を見ていたら、出てきたのが上の写真であります。

 「VFW614」という名前の機体で、ドイツの航空機メーカーであるVFW社が1971年に開発した。

 乗客40名程度の小型な機体で、ローカルな航空路線での需要にこたえるべく開発されたもの。







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 床面に降りて、機体を見上げると、やはり主翼上面においたエンジンの配置が特徴的である。

 こういうエンジン配置にしたのは、離着陸距離の短縮と未整備滑走路でエンジンへの異物侵入を軽減させるため。

 結果として燃費他も良くなったそうだけれど、主目的としては、ローカルな空港での運用を考えてだった。

 良く考えられた機体だったものの、オイルショックのせいで売れ行きは伸びず、19機の製作にとどまった。







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 ドイツ博物館、シュライスハイム分館に展示されたこの機体は、各種の試験に使われていた機体らしい。

 機体の内部は、様々な観測機器が積まれている。

 操縦室も、たとえば、副機長には両手用の操縦桿があるが、機長側のものはスティック状になっている。

 操縦室の機器もいろいろ追加されているようだ。




 この飛行機は、本来の、ローカル線での旅客運用としてはほとんど使われることなく、もっぱらドイツ空軍と、

 実験機関で使用されたのだった。

 世が世なれば、パイオニアとして、ホンダジェットのように脚光を浴びたかもしれず、惜しいことをした。

 ドイツ空軍での運用結果が気になるけれど、そこまで調べられなかったのは残念だ。







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TaekoLovesParis

覚えてます!ドイツ博物館の記事。難しかったけど感心しながら読みました。探して、また読んできました。(リンクがあったらいいのにと思います)。この時、ニュルンベルグ鉄道博物館の記事もわくわくして読みました。ナツパパさんに比べたら、言うのも恥ずかしいくらいですが、小さい時から乗り物が好きなので、ワシントンのスミソニアン博物館でライトやリンドバーグの飛行機と英国の蒸気機関車、デトロイトのフォード博物館で歴代の車の展示を見たときは感動でした。日本の大宮の鉄道博、所沢の航空博、浜松の航空自衛隊博、、外国のに比べると展示数が少ないです。
ホンダジェットの開発はうれしいですね。やはり本場、ドイツでは空軍主体で研究開発されているのですね。最後の写真、機体にルフトヴァッフェと書いてありますね。
by TaekoLovesParis (2021-08-01 13:24) 

八犬伝

なるほどなあ
確かに、翼の上にエンジンがあると
異物の混入を防げますね。
乗ってみると
エンジン音がすぐ近くで、快適さは失われそうですが。
by 八犬伝 (2021-08-01 13:29) 

ナツパパ

TaekoLovesParisさん。
いえいえ、TaekoLovesParisさんのお出でになった博物館が素晴らしく、
わたしも一度でいいから行って見たいところばかりです。
とくに、スミソニアン博物館(...群というべきでしょうか)は、ぜひとも
訪ねてみたい博物館です。
博物館では、歴史上名高い飛行機が実物で見られるがいいですよね。
TaekoLovesParisさんからご提案いただきました、リンク張りました。
「郊外にある航空機を展示する別館にも...」という文章をクリックしていただくと、
その折の記事に飛びます。
ありがとうございました。
by ナツパパ (2021-08-01 13:51) 

ナツパパ

八犬伝さん。
たしかに、客席からの眺めにエンジンがあると、ちょっと引くかもしれませんね。
日本で現行のプロペラ機に乗ると、客席のすぐそばでプロペラがまわっていて、
あれはちょっと怖くなりますが、それと似ているかもしれません。
それにしても、このエンジン配置で実際の旅客機を作ってしまうのは、
いかにもドイツぽいデザインだなあ、と、そんな感想を覚えました。
by ナツパパ (2021-08-01 13:54) 

旅爺さん

この様にコンパクトでスタイルも良い小型ジェットには
是非乗ってみたいです。
by 旅爺さん (2021-08-01 13:56) 

ナツパパ

旅爺さん さん。
ビジネスジェットの、凝縮されたスタイルはいいなあと思います。
いかにも機敏な感じがして、機会があればぜひとも乗ってみたいものです。
狭い日本では、飛行機よりも鉄道の方が利用価値が高そうですが、大陸諸国では、
こういったビジネスジェットの需要が多いのでしょうね。
by ナツパパ (2021-08-01 15:28) 

gop

ビジネスジェットと言えば、やはり一連のサイテーションでしょうか。
SONYトリニトロンCMはインパクトありましたっけ(懐・・1977年)
https://livedoor.blogimg.jp/cangee/imgs/a/a/aafe8f85.jpg

主翼上面エンジンは如何にもホンダらしいMM思想の一環なのでしょうね。
https://www.honda.co.jp/tech-story/engineer/engineer-talk/mm-philosophy/


by gop (2021-08-01 17:30) 

Inatimy

ホンダジェット、すっきりとしたデザインでカッコいいな。売れてるんだ・・・って価格なんて
想像もつかないです。 お金持ちな人のプライベートジェットなんだろうな。
ホンダのもドイツのも、ジェットエンジンのトラブルでもし火を吹いたら・・・と想像すると、
座ってる窓の外、間近なので恐ろしく^^;。
by Inatimy (2021-08-01 18:13) 

johncomeback

拙ブログへコメントありがとうございます。
高性能なのに日が当たらない(売れない)モノってありますよね。
僕が電機メーカーで開発に携わったビデオカメラも技術的には
高評価でしたが高価で売れなかったなぁ(´ε`;)
by johncomeback (2021-08-01 20:23) 

song4u

VFW614、初めて知りました!
このアイディアはホンダジェット(と言うか藤野社長)が先駆者
だと思っていたので、いささか驚きました。

奇しくも今週5日は、宗一郎さんの没後30年です。
もし宗一郎さんがご存命ならば、ホンダジェットのこの快進撃に
一体どういうリアクションをされただろうか?
・・・と思うと、何とも言えない気持ちになります。
本田宗一郎生涯の夢を乗せて飛ぶホンダジェットよ、永遠なれ!!
by song4u (2021-08-01 21:08) 

kuwachan

VFW614、オイルショックのせいで19機の製作にとどまった、ということですが
博物館に展示されているところがドイツらしいですね。
ドイツ空軍の実験機関の機体として使われたからでしょうか。
日本だったら処分されているような気がします。

by kuwachan (2021-08-01 21:41) 

YAP

ホンダジェット、売れてるみたいですね。
MRJ が不発に終わってしまいそうなのですが、プロジェクトの成功か失敗か、どこで差がついてしまったかというと、リーダーの覚悟の差だというのが各ビジネス誌の解説の一致するところのようです。
目標に対して執念を持って向き合ってきたリーダーと、なんだか船頭みたいなのが多くて方向性を定めることができなかったリーダーの差だと。
by YAP (2021-08-01 22:02) 

英ちゃん

私は鉄道は好きですが飛行機はあまり興味がありません。
てゆーか、地に足が着いてない乗り物はチョッと怖いから(^_^;)
そう言えば自衛隊のF-15は、東京~大阪を僅か10分で飛行するらしいね、凄過ぎ(゚□゚)
by 英ちゃん (2021-08-02 00:05) 

めぎ

小さな飛行機、乗ってみたいなぁ。
飛行機は縁遠くなってしまいました。
ヨーロッパ内でも飛行機避ける傾向ですもの。
by めぎ (2021-08-02 07:32) 

ナツパパ

gopさん。
セスナ社のサイテーションは画期的なビジネスジェット機でしたね。
セスナ社の飛行機からの乗り換えも考えて、あえて最先端の高性能を狙わず、
あの、デザインになったと聞きました。
翼なんか直線翼ですものねえ、離着陸の速度も抑えられて、操縦しやすそうです。
by ナツパパ (2021-08-02 09:45) 

ナツパパ

Inatimyさん。
ホンダジェットは、乗客の人数も比較的少なく、この手の飛行機としては安いのだそうですよ。
安くて高性能なので、そりゃ売れるだろうなあ、と思いますねえ。
生産拠点もアメリカにあって、アメリカのユーザーも安心でしょうし。
ただ、飛行機ばかりは、購入代金より、維持管理運行の費用が大変なのだそうで、
それで買ったはいいけれど...という方も多いと聞きます。
by ナツパパ (2021-08-02 09:48) 

ナツパパ

johncomebackさん。
どれが売れてどれが売れない、というのは難しいですものねえ。
高性能であれば...という訳ではないところがなんとも。
航空機の歴史を見ると、そういった事例がゴロゴロあって、読んでいると面白いです。
ただ、航空機という、設計仕様の要求もシビアなものだけに、なんで売れなかったのか?
...は説明がついてしまうんですよね。
そのあたりは「世界の駄っ作機」という本があり、お勧めです。
by ナツパパ (2021-08-02 09:51) 

ナツパパ

song4uさん。
そうでしたか、本田宗一郎氏が物故されて早30年でしたか。
月日のたつ速度は、わたしにとって、日増しに早く感じられます。
ホンダジェットの成功は、本田宗一郎氏にとっては大変喜ばしいことでしたでしょう。
ご存命でしたら、次の機体に取り掛かれ、と号令を発しておられたかもしれません。
VFWの機体設計はあくまでも、離着陸の際を考えてのエンジン配置のようです。
それに比べ、ホンダジェットは、翼形など最新の空力を用いて、燃費なども勘案しつつ
エンジンの置き場所も決めたものでしょう。
航空機を取り巻く環境が、両機の間で、大変シビアなものに変わったのだな、と思いますねえ。
by ナツパパ (2021-08-02 09:57) 

ナツパパ

kuwachanさん。
1970年代、ドイツでは斬新な発想による航空機が開発されました。
そういう意味では、ドイツ航空機界にとってのエポックメイキング的な時代といってよく、
それを象徴する数機が、この博物館にも展示されていました。
記事の飛行機はそのうちの一機で、ドイツの誇りでもあったのでしょう。
kuwachanさんの仰るとおり、よくぞ保存してくださった、と思います。
※同じコメントを2件いただきましたので、うちの1件は削除させていただきました。ご了承ください。
by ナツパパ (2021-08-02 10:01) 

ナツパパ

YAPさん。
MRJは不運でしたね。
設計時からの見通しと詰めの甘さがあったようで、最初の試験機が出来たとき、
アメリカの航空機メーカーの方がそれを見て、全面的に設計を見直さないとダメ、と言ったとか。
機体もそうですが、各種の装備品にもアメリカの基準に満たないものが多かったと聞きます。
日本の企業も、ボーイング社の下請けなどを広く行っているのに、そうなってしまうんですね。
これはやはり、マネージメントの失敗と言えそうですね。
つまりは、三菱という会社の風土による失敗、とも言えそうですねえ。
by ナツパパ (2021-08-02 10:07) 

ナツパパ

英ちゃん さん。
飛行機は便利で、わたしなど、このコロナ騒ぎ以前は、けっこう利用していたのですが、
乘っていて揺れると、おおっ、となるので、心の奥底では、苦手なのかもしれません。
筋金入りの飛行機好きの友人は、タービュランスに出会うと、ニンマリと嬉しそうにしますもの。
飛行機か鉄道か、と問われれば、わたしも、鉄道になりますねえ。
by ナツパパ (2021-08-02 10:11) 

ナツパパ

めぎさん。
飛行機は、閉じられた空間で時間を過ごすわけですから、このご時世では、
よほど必要に迫られなければ乗るまでには行かないと思います。
その点、ビジネスジェットは、乗客の素性も明らかなので、需要は旺盛ではないでしょうか。
アメリカとかヨーロッパとか、ビジネスジェットの活躍できる場のように思えます。
by ナツパパ (2021-08-02 10:15) 

小肥り

普通エンジンは翼の下にぶら下がってますよね。
それを上面に乗っける・・・かなり奇抜に思うけど・・・
理にかなってるんですね。
読んでみてその利点というのが少し理解できました。
欠点は・・・客席からの視界がちょっと妨げられるかな・・・
by 小肥り (2021-08-02 14:49) 

ナツパパ

小肥りさん。
よく見ると、ホンダジェットのエンジンは、客室の後ろにあるので、窓からの視界は
さほど妨げられるものではなさそうですよ。
それでも、このエンジン配置にするには、相当の勇気が必要だったことと思います。
性能的に有利になると分かってはいても、実際顧客に受け入れられなければダメですし。
そういう意味では、この英断に賛辞を送りたいと思います。
利点としてあと一つは、脚の長さが低く抑えられるということもあるようですね。
by ナツパパ (2021-08-02 16:31) 

sevensea-south

ナツパパさん、こんにちは。
飛行機大好きなうちの娘なので、この記事も読ませてみたいです(笑)
by sevensea-south (2021-08-02 19:00) 

なかせ

ドイツ博物館行かれてましたね~
リンク先も読みましたが、随分前のことでしたね。
主翼上面においたエンジンの配置は異物侵入を防げるんですね。
なるほど!!!
by なかせ (2021-08-02 21:04) 

アルマ

エンジンの位置からして音がやはり気になってしまいますね。
どこまでの大きさなのか、景色は・・・とか(^_^;)

by アルマ (2021-08-02 21:06) 

ナツパパ

sevensea-southさん。
あ、お嬢さん飛行機お好きなのですね。
そういえば、大学は理系でしたものね。
記事の内容は、自分なりに調べてはいるのですが、根は文系の素人ですので、
もし間違っていたらごめんなさい、というところなのです。
でも、興味を持っていただけたら嬉しいです。
by ナツパパ (2021-08-03 08:55) 

ナツパパ

アルマさん。
そうですよねえ、やはりエンジン音ですよね。
ホンダジェットは、この飛行機用に開発された小型エンジンですので、静粛性など、
様々に配慮されていると思いますし、翼に付けているので、胴体に付いたエンジンよりも、
振動などの直接な伝わりがないかなと思いますねえ。
ただ、博物館のVFWのエンジンはそういった配慮は少なそうで、客席にいても
うるさそうですよねえ...とくに、着陸時のリバースなんかの時。
by ナツパパ (2021-08-03 09:04) 

ナツパパ

なかせさん。
そうなんですよ、小型の飛行機はどうしても脚が短くなりがちですので、エンジンを翼下に
吊り下げる方法ですと、滑走路上異物への対処が難しいのです。
なので、通常は機体の後方両側にエンジンを取り付けるのですけれど、
ホンダジェットはそれを取らず、独創的な方法でうまく処理しているなあ、と思いますねえ。
by ナツパパ (2021-08-03 09:04) 

みち

確かにエンジンを上に置いた方が効率は良さそうですね。
コックピットの機械が格好良いです。
先日テレビで『ハドソン川の奇跡』を観たばかりなので、
そのシーンを思い出してしまいました。
by みち (2021-08-04 00:27) 

ナツパパ

みちさん。
あ、わたしも見ましたよ、「ハドソン川の奇跡」。
事故以後、限られた時間で的確な判断をしていく姿は素晴らしかったですね。
最後は法廷での話になってしまって、びっくりしました。
いい映画でしたね。
ホンダジェットのエンジンは客室のすぐわきについているのですが、飛行中の動画を見ると
エンジン音がとても静かで、ここまで配慮されているんだ、と驚きました。
by ナツパパ (2021-08-04 20:01) 

nachic

いいですね。今は不特定多数の乗客が乗る大型機よりビジネス用ジェットの需要がいっぱいありそうです。それにしても、気楽に出かけられる日常が早く帰ってきて欲しいですね。デルタ株のせいでワクチン打とうが、かなりの期間マスク生活続きそうですものね。
by nachic (2021-08-05 18:40) 

じゅんぺい

ご無沙汰しています。
今思うと、いいときに旅行されましたよね!
飛行機に乗ってどこかに行きたいーーーーーと
みんな思っているでしょうね。

by じゅんぺい (2021-08-06 13:05) 

ナツパパ

nachicさん。
大勢の乗客が乗る飛行機は、今のご時勢、リスクの方が目立ってしまいますよね。
そういった中でも、移動しなければならない方々にビジネスジェットは安心でしょう。
そして、VIPと呼ばれる皆さんは、元々ビジネスジェットを使っていましたから、
そちらの需要もあるでしょうから、需要も多くなりそうですね。
一度でいいから乘ってみたいとは思いますけれど、どう考えても宛は無く(笑)、
想像をはたらかせるしかないのは、まあ、仕方ないですねえ。
by ナツパパ (2021-08-06 16:20) 

ナツパパ

じゅんぺいさん。
そうなんです、2019年は、国内旅行3回に海外旅行1回、と普段では考えられないほど
たくさんの旅をしました。
そのように計画してのことではなく、海外旅行ですらも、本当は2020年3月の予定を、
急に変えてのことでしたが、おそらく2020年3月では旅行できなかったでしょう。
そこまで旅行したんだからもういいよね、と友人に言われますが、そんなことはなく(笑)、
ああ、旅行したいなあ、という思いが募りますねえ。
by ナツパパ (2021-08-06 16:24)