いよいよの桜花 [街あるき]
春の一日、どこかでぶらりと歩こう、とやって来たのは上野公園である。
この日は、数日前までの暖かさから一転、北風が冷たい陽気になったのだった。
それでも、こうやって真っ青な空は、本当に気持ちがいい。
今日の相方は、久しぶりの友人S君である。
彼とはずいぶんあちこちで街歩きをしてきた...あ、過去形じゃなく、現在進行形だな。
それでも、わたしの体調が思わしくなかったり、暮れに帯状疱疹になってしまったり...
...そんなこんなで、街歩きは、寒い間はお休みにしていたのである。
3月も中旬になって、いよいよ春めいてきたので、なんとなく外に出たい。
そこで、S君に連絡を取り、久しぶりに街歩きをすることになったのだった。
上野公園は人でいっぱいだった。
桜の開花宣言が出たので、桜を見にやって来たものだろう。
遠くから見ると、桜の花は少なく、1分咲きあたりだろうか。
それでも、花見の宴会をする人々もいて、なんとなく春の気分が横溢していた。
...心もウキウキしてくるというものではないか。
日当たりのいい木では、さすがに桜花が多く咲いてる。
こういった花の様子を見ると、「駘蕩」とか「爛漫」といった言葉が浮かんでくるなあ。
それでも、3月24日では、桜の開花は写真上のような具合である。
もっともこれは、日々変わっているので、おそらく今週の半ば以降には、花も咲き揃うのではないか。
そうなると、上の公園を訪れる人々もぐっと多くなることだろう。
わたしは、少し天の邪鬼なのか、満開の桜よりは咲き初めのほうが好き。
これから咲き誇る前の、初々しい様子が好ましいと感じる。
この日の訪れたのは、わたしにはよかった。
公園内はソメイヨシノがほとんどだけれど、紅がきれいな桜や、枝垂桜などもあってそれも美しい。
満開の枝垂れ桜には、写真を撮る方々がぎっしりだった。
いわゆるインバウンドの皆さんも多く、日本の思い出にぜひ愉しんでほしいところである。
そのあと、不忍池に回ってみた。
池の上を通って吹く風は冷たかったけれど、柳の若芽、そして鮮やかな紅色の桜がとてもきれい。
...ああ、春だなあ...春なんですねえ...良い季節の始まり。
◇ ◇ ◇
桜見物をして、不忍池も回ってみて、ずいぶん歩いたみたい。
時分時にはまだあるけれど、そろそろひと休みしよう、と話がまとまった。
ゆっくりと歩いて、御徒町駅脇の「吉池食堂」で、昼ご飯を取ることにした。
ここは多くの種類の定食があって、またアラカルトも豊富な店。
昼時にはとても混むけれど、11時を少し回ったあたりでは、すんなりと入店できた。
わたしが頼んだのは「お刺身定食」。
この食堂を経営する吉池は、鮮魚関係ではいいモノを売っているので有名なスーパーである。
果たして、新鮮でおいしい刺身を愉しむことが出来た。
久しぶりに友人と街歩きをして、美味しいものを食べて、あ、桜も見て、素敵な休日になった。